【日本ダービー】全頭診断

🐴サトノグランツ
父サトノダイヤモンドは、菊花賞、有馬記念の勝ち馬。すらっとしていて、馬体からも、血統からも、距離延長は良さそう。実際、1勝クラスは阪神芝2400mで突破。京都新聞杯は、1000m通過63秒2と緩い流れ。7番人気の逃げ馬が3着に残る展開のなか、4角5番手から、上がり3ハロン33秒3での差し切り勝ちと、瞬発力兼備している。相手は一気に強くなるが、ここでも楽しみはある。

 

🐴シーズンリッチ
父ドゥラメンテ×母父ハーツクライだから東京に向く配合で、実際未勝利戦は東京で勝ち上がっている。ただ、その時の自身の上がり3ハロンは34秒4で、同じく東京の共同通信杯では瞬発力不足を露呈した格好。前走勝利を挙げた毎日杯も、上がり3ハロン35秒1と、そこそこかかっている。となると、ダービーで買う要素をみつけにくい。

 

🐴ショウナンバシット
キャリア5戦【3-1-1-1】と堅実に走るタイプ。前走の皐月賞では、初めて着外に終わるも、12番人気5着と健闘している。2枠4番から、道中は中団のインで脚を溜め、勝負どころではスムーズに加速できていた。最後は止まったものの、内回りコースの立ち回りは上手く、若駒らしからぬ器用さがある。相手なりに走るので、3連係を手広く買うなら押さえてもいいが、外回りより内回りのタイプだろう。

 

🐴スキルヴィング
新馬戦2着から、3連勝で青葉賞を制覇。その青葉賞は1000m通過60秒4の緩い流れ。いつもどおりの後方待機も、デビュー以来最も良いスタートを切った分、極端に悪い位置ではなかった。直線は外に進路を取り、 ラスト3ハロン11.4 - 11.7 - 11.7の流れを、34秒1の脚で差し切り勝ち。ただ、G1で勝ち負けするならもうひとつ上の瞬発力が欲しく、時計の短縮も鍵となる。ルメール騎手は、皐月賞3着のファントムシーフではなくこちらへ。「青葉賞馬はダービーを勝てない」のジンクスを破れるか。

 

🐴ソールオリエンス
東京の新馬戦は、スローペースからの瞬発力勝負となり、マッチレースを制し初勝利。併せ馬に強さを見せ、上がり3ハロン33秒3も上々。京成杯は4角で膨れるなど、随所に幼さを見せる競馬ながら、際立つ末脚を使い完勝。皐月賞は最内に加え、道悪、多頭数、ハイペースと、クリアすべき課題の多いなか、スタート一息から道中は後方待機。直線では大外に進路を取り、レース全体を1秒7上回る上がりで差し切った。展開が向いたとはいえ、断然の脚力を示した。大箱かつ、左回りの東京の方がスムーズに走れる。無敗の二冠馬誕生へ、期待は高まる。

 

🐴タスティエーラ
皐月賞は、道悪のハイペースで、後方待機勢が上位を独占するなか、ただ一頭先行しての2着。直線は一旦抜け出したところを、勝ち馬の決め手に屈する形も、この馬の力はしっかりと出している。年が年なら皐月賞馬であり、強力な勝ち馬がいなければという意味合いで、今年の桜花賞2着馬コナコーストに被る。東京は新馬戦を好時計で勝ち、2戦目の共同通信杯でも4着と善戦。ただ、父サトノクラウン、母父マンハッタンカフェと、血統構成は重め。東京より中山向きに移る。

 

🐴ドゥラエレーデ
デビューから2戦は芝で5着、2着。ちなみに2戦目は逃げの手に出て、先週のオークスで大穴をあけたドゥーラに差されている。3戦目ダートで初勝利を挙げると、再び芝へ。東スポ杯2歳Sは、瞬発力勝負に対応できず4着。ここのレース内容は重要で、やはりダートで勝ち鞍を挙げる馬だけに、スピードの持続に優れるものの、上がり勝負はきつい。次走のホープフルSは、スローペースを番手につけ、しぶとさを活かし11番人気1着。再びダートへ転じ、UAEダービー2着の目まぐるしい戦歴。前述したとおり、キレないので、東京はきつい。

 

🐴トップナイフ
勝ち鞍を挙げた萩Sの後半1000m58秒1が象徴するように、持久力勝負に優れたタイプ。京都2歳S、ホープフルS、弥生賞を3戦連続2着。ホープフルSでは、自らペースを作り、後半3ハロン 11.9 - 11.2 - 11.9。ホープフルSG1昇格後に、ラスト3ハロンにすべて11秒台が並ぶ年はなく、鞍上横山典弘騎手のペースコントロールが光った。皐月賞は、痛恨の出遅れが響き7着。持続力を活かしたいタイプだけに。東京より中山、外回りより内回り。舞台替わりはマイナスになる。

 

🐴パクスオトマニカ
前走プリンシパルSはハナに立ち、1番人気アヴニードルブリエの追撃を振り切って優先出走権を獲得。ただ、少頭数らしく1000m通過62秒4のスロー。逃げた自身の上がりが33秒6と、展開利は大きかった。今回は、皐月賞で逃げたグラニットがいないのはいいものの、同じように楽にはいけないはず。母父ディープインパクトから素軽さを引き、東京向きのフットワークだが、長丁場で目標にされる脚質はいかにもきつい。

 

🐴ハーツコンチェルト
中京芝2000mの新馬戦を8馬身差圧勝。相手弱かったとはいえ、後半のラップタイムは、重賞でもと、期待を抱かせるもの。次走の東スポ杯2歳Sは出遅れが響き3着。しかし、上がり3ハロンはメンバー中最速の33秒8で、大気の片鱗はみせた。ホープフルSと若葉S、内回りコースで苦戦し、前走東京の青葉賞で巻き返し。やはり大箱向きで、距離延長も吉と出た。相手は強くなるが、コース適性だけで考えるなら上位にくる。

 

🐴ファントムシーフ
皐月賞は1番人気3着も、向こう正面の落鉄に加え、道悪も応えた印象。今回は、ルメール騎手からダービー6勝の武豊騎手へ乗り替わり。中山のホープフルS2人気4着は、大きな不利こそなかったものの、内枠からのスローで道中動けず、コーナーリングもやや窮屈。その後、東京の共同通信杯で勝利の飾った戦歴どおり、フットワークは大箱向き。大崩れはなさそうだが、ハービンジャー産駒で、G1レベルでの瞬発力勝負になったとき、勝ち切るまではどうか。

 

🐴フリームファクシ
新馬戦2着から、3連勝できさらぎ賞を制覇。一貫して折り合いに課題を残した。キレにキレる感じではなく、どちらかとえいば持続力のタイプ。きさらぎ賞も勝ったものの、ゴール前の勢いは2着馬で、瞬発力に長けたディープインパクト産駒のラストクロップ、オープンファイアの方が上だった。となると、東京替わりは微妙だろう。前走、レーン騎手テン乗りの皐月賞は、4番人気9着。課題の折り合いはついたものの、道悪が堪えた印象。一線級相手の瞬発力勝負は分が悪いので、前々で運んでどこまで。

 

🐴メタルスピード
未勝利突破に5戦を要したものの、1勝クラスを連勝で勝ち上がると、重賞初挑戦のスプリングS3着で、皐月賞へ駒を進めた。その皐月賞では、中団を追走すると、レース後の調教師コメントのとおり、坂下で「おっ」と思わせる場面も。敗れはするも、4着は立派。ただ、過去8戦で、自身の上がり3ハロン最速は35秒1。軽い芝の東京で瞬発力勝負になると苦しいだろう。

 

🐴べラジオオペラ
負けなしの3連勝で重馬場のスプリングSを制覇。緩みない流れを、中団に待機し、4角は外を回り楽に差し切った。母父ハービンジャーで渋った馬場も味方した印象。前走皐月賞は10着も、重馬場で1000m通過58秒5を番手追走なら苦しい。前走だけで見限るのは早計。ただ、血統的に東京の瞬発力勝負に長けた感じはなく、距離的にもベストは3戦3勝の1800m付近に映る。

 

🐴ホウオウビスケッツ
新馬戦で中山マイルを勝ち、次走に東京芝2000mを走るめずらしい臨戦。そのフリージア賞は楽に行けたのも大きかったが、後半5ハロン57秒7は優秀で、すべて11秒台のラップを並べた。ただ、レース後鞍上から、2000mはぎりぎりとコメントが出ている。皐月賞は道悪で度外視できるものの、2400mは長いだろう。

 

🐴ノッキングポイント
東京マイルの新馬戦は、前半3ハロン36秒1の緩い流れを、好位から上がり3ハロン最速33秒2の脚で3馬身半差快勝。そこからサウジアラビアRC1番人気4着、ジュニアC1番人気6着と、案外な結果に。直近2走は立て直し、前走初のマイル以外を走った毎日杯でも2着に走った。ただ、今回はさらなる距離延長で、一気の相手強化。父モーリス×母父キングカメハメハだから、血統的には中山向き。ここでは厳しいか。

 

🐴グリューネグリーン
新馬戦は素質馬ミッキーカプチーノの3着で、3戦目の京都2歳Sで重賞初制覇。その時はハナに立ち、直線外にふらつきながらも、その後ホープフルSで2着に走るトップナイフの追撃を凌ぎ切った。母系的に揉まれたくない血統で、京都2歳Sのような形がベストだろう。ただ、多頭数のG1での再現は難しいし、本質的に東京は合わない。

 

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